中国語の「把」の構文は目的語に対して行動の動作を強調する文を作る時に使う文法です。
「把」の構文は中国語の基本語順とは異なり、述語と目的語の順番が入れ替わります。
主語+‘把’+目的語(名詞)+述語(動詞)
把の構文を作るときは動詞ははだかのままでは用いられず、動詞の前に修飾語があるか、動詞の後に目的語・補語あるいは助詞の“了”や“着”などなんらかの成分が付加されています。
今回の記事では把の構文を作る上でのルールと注意点を紹介します。
目次
「把」の構文の必要な理由
中国語の文法においてなぜ「把」の構文いう文法が必要なのかまず説明します。
你把窗户关了吗?
(あなたは窓を閉めましたか?)
通常の文に置き換えるのと、
你关窗户吗?
(あなたは窓を閉めましたか?)
日本語に訳した場合は意味は変わりません。
日本語では助詞の「〜を」や「〜に」をうまく使いこなすことで強調したい部分を表すことができます。
日本語にように中国語は助詞がないので目的語(この場合は「窓」)に対してどのように処置するのかを強調したいときに把の構文を用います。
「把」の構文のルール
動詞に補語をつける
動詞の後に結果補語、様態補語、方向補語を置いて動詞の部分をどうなったのか補足します。
请把这份资料发给我
(この資料を私に送付してください)
发给は動詞の发とものを受け取る人へ移動させる意味である結果補語の给が組み合わっています。
完了の「了」をつける
すでに動作が完了してしまったことを表すために動詞の後に完了の「了」をつけます。
我们把这个问题解决了
(私たちはこの問題を解決しました)
その他、中国語の「了」の使い方を学習したい方はこちらの記事を参考にください。
持続の「着」をつける
動作が持続していることを表すために動詞の後に持続の「着」をつけます。
他们把门开着
(私たちはこの問題を解決しました)
その他、中国語の「着」の使い方を学習したい方はこちらの記事を参考にください。
動詞+目的語の形にする
動詞の部分に目的語を付け加えて処置を意味をさらに詳しく表すことごできます。
请把这些书放桌子上
(どうぞこれらの本をテーブルの上に置いてください)
本来の目的語は书ですが、動詞の後にも桌子上という目的語を置いているので二重目的語のような使い方ができます。
この構造の場合は二重目的語がとれる動詞を除いて通常の語順に書き換えることはできません。
「把」の構文の否定文と疑問文
不定文
「把」の構文の否定文を作るときは「把」の前に不定詞を置きます。
我没把那个还给她
(彼女にそれを返していません)
你为什么不把那个退货呢?
(なぜそれを返品しないのですか?)
疑問文
「把」の構文の疑問文を作るときは通常の文と同様に文末に「吗」を置きます。
你已经把这个发货了吗?
(これをもう出荷しましたか?)
「把」の構文は特殊な語順であるため、中国語検定やHSKなどの試験で否定文や疑問文の把の構文の語順を問う問題がよく出題されます。
「把」の構文の注意したいこと
「把」の構文の目的語は特定されるものに限定されるので聞き手や話し手に特定されないものに対して把の構文は成立しません。
❌把很多书卖了
把の構文に使われる動詞は他動詞的な使い方で目的語に対してなにか処理をさせるものに限定されます。
知道,去,来などは自動詞的な使い方をする動詞は把の構文には使えません。
❌把他去了
まとめ
- 目的語に対しての処置を強調したい時に使う。
- 動詞には単独で使わず、補語などが付く。
- 不定文は「把」の前に付ける。
中国語の「把」の構文について文法や使い方を解説しました。
最初は語順も異なるため違和感を感じますが、使われるパターンが限定的なので「把」の構文を使われた中国語を見かけたら動詞と目的語に着目して自分の言葉として覚えていきましょう。
